セントアンドリュースの駅ピアノ
秋がやってきました・・・
秋といえば「芸術の秋」だな・・・などとあれこれを考えているうちに、
セントアンドリュースで出会った「駅ピアノ」のことを思い出しました。
「駅ピアノ」はNHKのBS放送で特集が組まれて以来、オランダ・アムステルダムやチェコ・プラハなどの駅ピアノが有名です。
駅の構内に置かれていて、だれが弾いても大丈夫な公共のピアノのことです。
今では駅以外にも世界中いろいろなところに置かれているようですが、私は過去に一度も遭遇したことがありませんでした。
今年5月のゴルフ旅行でスコットランドのセントアンドリュース滞在期間中に、近郊の大都市グラスゴーにいく計画を立てました。
エルデトラベルツアーはゴルフ旅行に観光旅行を組み合わせてもOKなので、ゴルフバックとスーツケースをエルデのお世話係さんに預けてグラスゴーまでバスで行くことにしました。
セントアンドリュースの街にはゴルフ・リンクスの近くにバス・ステーションがあり、そこからエジンバラやグラスゴー方面行きのバスが出ています。
滞在ホテルから鉄道の駅までは遠すぎて歩けませんが、バス・ステーションまでなら徒歩10分ほどで着きます。
スーツケースからグラスゴー2泊分に必要な荷物だけをリュックに詰めて、セントアンドリュースの街並みを眺めながらぶらぶらバスステーションまで歩いていきました。
バス・ステーションには、日本人は一人もいませんでした。
観光客はいましたが、どちらかというと地元の人が多かったような気がします。
バスの本数は日中なら1時間に1本程度あり、グラスゴーにもエジンバラにも問題なく行けるようでした。
とりあえず切符を買ってホッと一息つき、待合の椅子に座ってバスを待っていると・・・
なんだかピアノの音が聞こえてきます。
なんだろうと音がするほうに目をやると、親子連れがピアノを弾いています。
上手とはお世辞にも言えませんが、なんだかすごく楽しそうに見えました。
そのうちバスが来て、その親子はいなくなりました。
待合で待っていた人も半分ぐらいに減りました。
次に、若いカップルがピアノを弾き始めました。
男性のほうがピアノが上手なようで、なかなかいいムードです。
「恋人同士でセントアンドリュースまで遊びにきたのかな・・・カップルで駅ピアノを弾くなんて、羨ましいな~♡」
などと思いながら、二人の弾くピアノの調べに耳を傾けていました。
またバスが来て、この二人も去っていきました。
気が付くとバス・ステーションの中には私と年配のご婦人二人きり・・・
さっきまで賑やかなピアノの演奏が建物いっぱいに響いていたのに、なんだか急にさみしくなりました。
私も、引いてみようかな・・・( ^ω^)
日本にいる夫にラインでこのことを書いて送ってみたら、
「旅の思い出に、ぜひ勇気を出して引くんだ!!」とのエールが送られてきました。
「でも、もう20年もピアノなんか触ってないし、無理無理!!」
とラインで返すと、
「旅の恥はかき捨て、というでしょ?!
勇気を出して是非弾きましょう!!(^_-)-☆」
と再びエールが送られてきました。
「よし、少しだけ弾いてみよう!!」と決意し、
私はピアノの椅子に座り、鍵盤を人差し指でポンと押してみると・・・
素晴らしい音が建物いっぱいにこだましてかえってきました(*'▽')
この古い木調のピアノからは、日本では聞いたことのないような音が出ました。
もっと引きたくなるような、素敵な「弦の響き」です。
待合の椅子に座ってるおばさんは居眠りしてる様子だし、弾いても大丈夫そう!!
私はすっかりこの古いピアノの音に魅了され
「さくらさくら」をアレンジして3コーラスも弾いてしまいました( ´艸`)
日本の短音階が心地よく バス・ステーションに響き渡りました。
弾き終えると、椅子で居眠りしていたはずのご婦人が手をたたいてくれました。
私はカタコトの英語で「日本の花の曲」であることを説明し、お礼を言いました。
そのご婦人は、セントアンドリュースの親戚の家を訪ねてきたようで、これからエジンバラまでバスで戻るとのことでした。
バスの旅の計画については不安が多かったのですが、「駅ピアノ」のおかげで幸先の良いスタートとなりました。
今でも、このバス・ステーションのピアノの響きは忘れられない思い出です(^^♪