イギリスのゴルフ場と観光の魅力

ゴルフ好き・旅好きのイギリス旅行記録

ハイランド地方への旅 その3

前回に引き続き、今回もRabby‘sのハイランド旅行の続きを書きたいと思います。

インバレリーの港街とキルカーン城を見学した後、一路オーバンに向かうのだとばかり思っていたのですが・・・またしても途中停車。

そこは「St.Conan's Kirk」という小さな教会堂でした。

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場所はオー湖(Loch Awe) の北岸で前回のキルカーン城の大体向かい側に位置します。

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オー湖を見下ろすように建てられていて、こじんまりとした石の教会堂が静かな湖面にとてもマッチしていました。

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これまでのイギリス旅行でロンドンの「St.John’s Chapel」やヨークの「ヨーク・ミンスター大聖堂」といった立派な教会に訪れていたので、

「こんな田舎の小さな教会の中は大したことないのだろう・・・」

そう思いながら、ハンサムドライバーの案内について行きました。

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スコットランドの大きなカテドラルは壊されていることが多いのですが、ここはとても綺麗に保存されているな~と思ました。

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中に入ってみると、まず回廊がありました。

オークの重厚な木と石の組み合わせが、何とも素朴で素敵な空間でした。

よく見ると、屋根にも美しい柄がついています。

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そして、こんな不思議な石のアーチが・・・

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アーチの四葉のクローバーの模様がとても気に入りました(^^)

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ロートアイアンのフェンスがチューリップ柄なんて、教会堂では珍しいですよね。

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礼拝堂はこじんまりしていましたが、一つ一つが本物のアンティークのようでした。

小さいですがパイプオルガンのデザインと彫刻がとても凝っていました。

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天井の木組みの梁が特徴的で、とても印象に残りました。

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こんな不思議な天使の木彫刻・・・ほかの物もとても繊細な彫刻ばかりです。

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奥に行くと雰囲気ががらりとかわり、立派な大理石の柱とステンドグラスの窓。

柱はサークル状に配置され、重厚感あふれる木の聖餐台と椅子が静粛な気持ちにさせました。

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このヒーターはさすがに最近の物かと思いますが、周りにとてもマッチしています。

 

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テラスに出ると、アウェー湖が一望でき素晴らしい眺望でした。

外に出るとナチュラルな庭が美しく、隅々までラブリーな空間でした。

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この手すりも、とってもお洒落なデザイン・・・

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30分程度の見学でしたが、予想外に素敵な教会堂でした(^^♪

 

しかし私は、この時まだこの建物のすばらしさが十分に理解できていませんでした。

いつもの「あとから知って驚く!!(@_@)」パターン!!

今回のブログアップのためにいろいろ調べることで、この教会がいかに個性的な歴史とデザインの建築物であるかを知りました(^◇^)

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 私は旅の途中で、解説ボードを必ず写真に取っておくようにしています。

その場ではゆっくり読む暇や気力がない場合が多いので、帰ってから読み返すことで旅をもう一度楽しむのが私流です。

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今回も、これらのパネルを読んで調べているうちに「St.Conan's Kirk」の様々な魅力と驚くべき歴史を再発見しました。

ネットで調べても日本語で解説されているものはありませんでしたので、未熟ながら自分の訳をここにご紹介したいと思います。

この教会堂は1881年からウォーター・ダグラス・キャンベルによってデザインされ、建設が始まりました。

1906年から更にリノベーションされていき、今のようになったようです。

現在はスコットランド文化財(カテゴリーA)として保護されている貴重な建築物のようです。

キャンベル家はハイランド地方最大の氏族で、ウォーター・ダグラス・キャンベルは8代目キャンベルの3人目の妻の子供だったようです。

全部で9人兄弟の一番末の弟で、7人が男子・2人が女子というのですから、ダグラスのキャンベル家党首継承は程遠かったでしょう。

そういえば、前回の「ハイランド旅行 その2」で行きそこねたインバレリー城もキャンベル家の持ち物です。

現在のキャンベル伯爵の妻は、イギリス最大手のチョコレート会社の令嬢とか・・・

バレンタインデーが近いですがイギリスではチョコの売り上げはどうなのかしら?

・・・余談でしたが、ウォーター・ダグラス・キャンベルもキャンベル家の家系だということで、当時お金には苦労していなかったことが想像できます。

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ウォーター・ダグラス・キャンベルは多彩な才能を持った人物だったようです。

1870年にダルマリーからオー湖北岸を抜けて港町オーバンまでつながる鉄道が建設されました。

それまでは、この辺りは人が全く住んでいない湖畔の平原だったようです。

ウォーター・ダグラスはこの鉄道に乗ってこの土地を訪れ、湖畔近くの土地を買って最初は自分と母親・姉妹が住むための別荘を建てました。

しかし、年老いた母親が遠く離れたダルメリーの教会まで馬車に乗っていくのに骨が折れるのをみて、近くに教会をたてることを決意したのです。

ダグラスは、オー湖北岸の急斜面を建設地に選び「St Conan'sKirk」が誕生することになりました。

 

最初は1881年1886年に十字型の小さな教会を建てました。

今の教会堂の中央部分と聖歌隊の席あたりだけの広さのものでした。

しかし、ウォーター・ダグラスは壮大な設計計画を立てており、1907年からはもっと大きくて、崇高で凝ったデザインの教会建築にとりかかりました。

彼は、古い教会堂の建築廃材や骨とう品を組み合わせて独特のデザインの教会堂を時間をかけて作り上げていきました。

また、スコットランドの勇者「ロバート・ブルース」の納骨堂も作りました。

1914年にダグラスが亡くなった後も、姉のヘレンがその意思を継いで建築を続け、1930年にヘレンが亡くなった後は奉献されて現在に至るようです。

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なぜ建設に50年近くもかかったのかというと、当初はオー湖周辺に労働者が住んでいないために遠くから連れてこなくてはいけなかったことや、建現場に建築資材となる巨石が十分にないので湖畔の丘の中腹から運んでこなくてはいけなかったこと、第一次世界大戦の間建築が中断したこと、そしてまたウォーター・ダグラス自身が建築物のデザインのみならず彫刻作成も手掛けていたからだったようです。

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この壁に備え付けられた彫刻は、アイオナ修道院から持ってきたものだそうです。

ダグラスは好みの古い教会の廃材物を収集しそれを組み合わせて造っていったので、

ノルマン風とローマン風のデザインが混在し、さらにダグラス自身のデザインした独特な彫刻や板金がミックスされて、結果的にそれらがうまく融合し壮大で、美しく、少し奇妙で一風変わった、他にない空間が造り出されていったようです。

このような建築物は他に見られず、実に貴重なイギリスの文化遺産なのだそうです。

 

教会の中庭を囲んだ回廊と礼拝堂の梁は、2隻の古い戦艦(Caledonia号とDuke of Wellington号)を壊した廃材が用いて作られています。

 

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このチャペルは、オークの重厚感ある木材の天井とローマの宮殿を思わせるような柱が実にマッチしており、背の高いステンドグラスの窓から入る柔らかな光が並外れた素晴らしい空間を生み出しています。
チャペルには、スコットランドの勇者「ロバート・ブルース」の棺が置かれています。

この棺の中には、ダン・ファームリン大聖堂に納骨されている勇者ブルースの骨の一部が入っているそうです。

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勇者「ロバート・ブルース」の等身大の木彫りの像は、顔と手だけが大理石でできており、ステンドグラスを通したやわらかい光が当たるとまるで生きているかのよう・・・
この大理石は「雪化石膏」というもので、古代エジプトなどで彫刻によく使われたもので、ここにもダグラスのこだわりを感じます。

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 ウォーター・ダグラス自身が自分で彫刻したという、パイプオルガンのパネルも実に美しく、ダグラスの並外れた才能を感じさせます。

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 姉のヘレンさんが自らデザインし、書いたというステンドグラスの天使の絵・・・

何とも優しく、心が癒されますよね(^^)

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こうして改めてみると、ウォーター・ダグラス家の世界観のすばらしさや会堂建築にかける熱い思いが強く伝わってきます。

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尖塔もいろいろな様式がごちゃ混ぜに配置されており、注意深く観察するとそこにもダグラスのユニークなセンスがうかがえます。

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さりげなく、フクロウがデザインされています(^^)

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雨樋のドレイン部分に、このようなユーモラスな板金デザインが施されています。

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このウサギさん、なんだか、つい微笑んでしまいますよね!!

 

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これはウォーター・ダグラスのお母さんのメモリアルタワーです。

教会より少し高いところの庭に建てられています。

お母さんをよほど愛していたのでしょうね・・・

 

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テラスから望むオー湖の美しい景色には、本当にうっとりします・・・

是非また機会があれば、もう一度この教会堂に訪れてみたいなと思います。

 

・・・というわけで、

今回も、またもやオーバンまでたどり着けませんでした (;^ω^)

次回はいよいよ「オーバンの港町」について書きたいと思います!!

 

 今日もお付き合いありがとうございましたm(__)m

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1月末は、インフルエンザで 寝込みました・・・

みなさんも、どうぞお大事にお過ごしくださいませ!!

(^_-)-☆